サーボの意味
サーボとは【奴隷】と言う意味だそうです。機械設備のサーボとは、『指令に対して忠実に動く』ことをあらわしています。
この本でのサーボ機構の説明は『指令通りの想定した動作を繰り返し高速、高精度で実現するシステム』としています。
サーボ機構はどのようにつかわれているか?
工場での勤務経験が無い方は『サーボ機構』と言うものに対してなじみが無いかもしれません。しかし、この世の中の製品の大多数は、サーボ機構が無くては生産することができません。
同じものを同じ品質で高速でつくることが出来るサーボ機構はものづくりの現場では様々な手段で活用されています。
自動車をつくるロボット、製品を搬送するベルトコンベヤ、トイレットペーパーを巻き取るローラー等のように、機械が自動で動いてくれる部位につかわれています。
具体的にどのような構成になっているか?
サーボ機構は機械要素と、電気要素が合わさって構成されています。
機械要素では、サーボモーター、カップリング(軸継手)、ボールねじやギアなどのアクチュエーター(動力を伝える部品)、ベルトや、搬送テーブル(負荷部位)などで構成されます。
動かすものや使い方によって機構は異なりますが、サーボモーターを機械部品と組み合わせて仕事をさせています。
電気要素では、PLCなどの、コントローラーユニットや、サーボアンプ、サーボモーター、エンコーダーなどのセンサーで構成されます。
コントローラーから指令が出る→サーボアンプがモーターをどれくらい動かすか指令を出す→サーボモーターが回転する→センサーが指令どおりに動いているか確認する→アンプに実際のどのような動きをしたか信号を送る(フィードバック)
サーボ機構では、このように動く為の指令を出すだけではなく、実際にどれくらい動いたかを確認するセンサーがついており、指令通りに動かなかった場合は、自動で補正する制御が組んで有ります。
この制御のことを『フィードバック制御』と言います。
サーボ機構はモーター(電気)だけが動力なのか?
サーボと言うと、一般的には電気を動力とするサーボモーターが使われるサーボ機構をイメージする方が多いと思います。
しかし、電気以外にも、油圧や、エアーを動力としたサーボ機構も存在します。
油圧のサーボ機構とは?
1960年代は油圧のサーボ機構が主流だったそうです。
構造としては、油圧を動力とし、シリンダー等のアクチュエーターが動作し、リミットスイッチや、近接スイッチなどのセンサーによって動作したかを確認して制御をおこなっています。
実際に自動車の製造でも油圧サーボのロボットが使われていたそうです。
油圧サーボにもメリットがあります。
メリット
力が強い
保守が容易
デメリット
部品の劣化により油が漏れる不具合がある
力が強い反面、不具合時は部品が破損しやすい
配管や、継手などが多少複雑
ストロークの制限がある
エアーのサーボ機構とは?
油圧と同様にシリンダーなどのアクチュエーターが動作し、リミットスイッチや、近接センサーによって動作確認をしている。油圧との違いは、動力がエアーであることです。
エアーシリンダーと同様に使用されたエアーは大気開放される為、環境に優しいエネルギーです。しかし、油圧と比較すると動作させる力が小さいと言う特徴があります。
メリット
環境に優しい
保守が容易
安価で製作することができる
配管構造も簡単
デメリット
精度が劣る
力が弱い
排気による騒音
電気のサーボ機構とは?
サーボモーターと言ってもDCサーボモーター(直流)、ACサーボモーター(交流)が存在します。
DCサーボモーターの特徴としては、直流は電気の流れが一定なので、安定した動作が得られるが、力が弱いです。構造では、整流子ブラシと言う部品が回転部にあり、磨耗部品なのでメンテナンスが必要と言うようになっています。
ACサーボモーターの特徴としては、高出力が可能で、メンテナンスフリーの為広くしようされています。
交流電流は流れが一定ではないので、安定しにくいと言うデメリットがありましたが、制御技術の発展により解消されています。
用途に応じて、エアー、油圧のサーボ機構や、エアー、油圧のロボットも存在します。
しかし、電気のサーボ機構のほうが、現在一般的になっているのは、精度、速度の面において優れており、動作速度や動作位置の微調整も容易に行うことが出来るからです。
フィードバック制御と言う外乱による影響にも強いこともメリットの一つです。
サーボモーターのメンテナンス
サーボモーターは大きく二つに分けるとDCサーボモーター、ACサーボモーターに分かれます。
DCサーボモーターはブラシが磨耗する構造になっているので、高頻度でメンテナンスが必要になります。
ACサーボモーターもブラシは存在しませんが、磨耗する部品は存在します。磨耗部品の寿命は取扱説明書に記載されていますが、使用環境によっても違いが出てくるので注意が必要です。
一般的にはベアリングが2万時間、オイルシールが5千時間ごとに交換が必要と言われています。
安定した生産の為にはメンテナンスは必要不可欠なので、設備の状態を日頃から観察してメンテナンス周期を決めて、周期ごとのメンテナンスが必要になります。
サーボ機構の選定
サーボモーター、サーボアンプはどのように選定されるのか少しだけ紹介していきます。
まずは使用するあたり、モノを動かすに当たり必要な力や動作量等を計算して求めます。
次に製品カタログなどで、要求事項を満たす製品を選定します。
仕様環境によっては防塵性や、防錆性などの付加仕様についても調べておく必要があります。
サーボモーターとサーボアンプは対になっているので、サーボモーターの選定が出来れば自ずとサーボアンプの選定も行うことが出来ます。
サーボモーターや、サーボアンプの選定は、電気、機械両方の知識が必要なので、とても難しい判断になります。
判断しかねる場合は、メーカーと打ち合わせをして選定を進める必要があります。
サーボー機構の不具合
サーボ機構ならではの不具合と言うものがいくつかあります。
今回はよくある事例の3つを紹介します。
共振
振動が物質の持つ周波数と一致した際に、振動が大きくなると言う現象です。
テレビでワイングラスを声で割る映像を見たことがある人もあるかと思いますが、同じ現象です。
物質の持つ『固有振動値』と言うものと、サーボモーターが出す振動が一致した際に振動が大きくなるのです。
対策としては、サーボパラメーターのゲイン、時定数、イナーシャ比などの変更をすると振動が抑まります。
サーボパラメーターについては今回は明記しませんが、使用しているサーボ機構の取扱説明書に書いてあるので一度目を通しておくと内容が理解ですると思います。
ハンチング
ハンチングは機械設備の振幅が減衰しないで振動する現象です。
共振とも似たような現象ですが、ハンチング状態にサーボの状態をモニターすると数値が安定していないことが確認できます。
対策は、共振と同じようにサーボパラメーターのゲイン、時定数などを変更することで抑えることが出来ます。
精度が出ない
位置決め精度や、繰り返し精度が出ないと言う不具合は主に機械側に問題があることがほとんどです。
ギアや、ボールねじの磨耗によるバックラッシュ量が大きくなったり、ベルトの磨耗、ガイド部品の磨耗などが考えられます。
どの部品が原因になっているかと調査し、修理をしなければ、サーボパラメーターを変更しても精度を出すことは難しい場合がほとんどです。
サーボ機構基本のまとめ
今回は職場でサーボ機構と言うものを聞いたことがあるが、何のことをいっているのか全くわからない!と言う製造部門の方や、保全部門、技術部門、営業部門で働く人の為に記事を書きました。
少し内容が足りないとこもあるかと思いますが、基本を理解できる程度にはなっていると思います。
詳しい内容については需要があれば今後も記事を作成していきます。
今回の内容は私の実体験と、『トコトンやさしい サーボ機構の本』と言う本の内容を参考にして書いていますので、より深い内容を学びたい方は一度読んでみてください!